誰もそこに住んでいたことを知らなかった小学1年生。
登校日が初顔合わせという前途多難でスタートした集団登校。
1学期は、対応に疲れた上級生たちが次々と欠席するなど波乱万丈でした。
小学校への登校準備として保護者がやっておくべきこと
地域にまったく存在を知られていなかった新1年生。
3年以上住んでいたというのに誰もその家族を見たことがなくて、保護者間には衝撃が走りました。
もちろん、集団登校も順調に行くはずもありません。特に男の子は、知らない人ばかりの集団におびえます。
父親が集団登校班について(というより、わが子の手を引いて集団登校に混ざり)、小学校まで行くことになりました。
その男の子の母親いわく、「うちの子は繊細で、保育園でもいつも泣きわめいていたんです」とのこと。
まるで子どもが問題児のような言い方ですが、まったく挨拶もしてこなかったような家族です。
「そうやって自分の問題棚上げして、今までは保育園に丸投げしてたんだろうなぁ」、と思ってしまう保護者たち。
そりゃそうです。知らない家族なので、同情もできない。
そんな親子に対応する集団登校の上級生たちは大変です。
新1年生だからやさしく声かけをしますが、まず男の子は親から離されるのを嫌がるので、聞く耳を持ちません。
完全に親子のごたごたです。
今まで一度も会ったことのなかった「知らない家族のごたごた」を、毎朝、皆で見守ることになりました。
せめて少しでも近所の誰かに挨拶をしてくれていたら、
せめて週末にでも小学校までの道をうろうろしてくれたら、
せめて近所に小学生の顔見知りでもいてくれたら、、、
ちょっとした親の工夫でこんな状況にならなかったのではないか?と感じずにはいられません。
保護者の努力不足。事前準備の不足。
保護者が「仕事だから」と、親子の関係や、地域とのつながりを後まわしにしてきた結果に思えます。
子どもの自主性を尊重しないどころか邪魔をする親の行動の数々
親の努力不足を感じる場面は、他にいくつもありました。
集団登校1日目でさえ、親子で遅れてやってきて、親が挨拶もできない。
集合時間の遅刻は毎日のように続きます。
男の子にしては、ランドセルを背負わされ、親に促されてマンションから出てみると、知らないお兄ちゃんお姉ちゃん、そしてその一部の保護者が見つめてくるわけなので、それは怖いと思います。
しかし、その親子のために、集団登校がスムーズにスタートできなくなりました。
いつも遅れてやって来るので、お父さんには「早めに下に降りて、皆を待つような感じにしてくれるといいと思います。子どもも、皆が自分のもとに集まってきてくれて不安が少なくなると思います」と伝えました。
なかなか大変だったようですが、少しは早めに出てきてくれるようになりました。
でも、「トイレに行く」と家に帰っちゃったり、問題なくスタートしたと思ったら母親が後ろから声をかけてきたりで、朝の流れが台無しになることもしばしば。
せっかく子どもが小学校に行こうと前を向いているのに、仕事に行く前の母親が呼び止めるように後ろから平気で声をかけるのです。
あまりにも子どもに対する対応が下手なので、「本当に子どもを学校に行かせたいと思っているんだよね?」と疑問になってしまいます。
「うちの子はややこしくて」と言いながら、親が子どもの自主性を尊重せず、それどころか集団登校全体の子どもたちの行動を乱してくるのです。
対応する他の子どもたちは振り回されました。
集団登校はたいせつな学習の機会だけど、大変すぎると熱を出すよね
集団登校は、子どもたちがたくさんのことを学ぶ機会です。
通学路には、大通りの横断歩道、踏切、狭くて1列ではないと行き違えない細い場所、複雑な5差路と、小学生が登校するのに注意すべきポイントがたくさんあります。
「狭い場所では1列になる」、「踏切は速足で渡りきる」など、集団登校を通じてたくさんのポイントを学んでいき、班長や副班長になった上級生がそれを下級生に教えてあげます。
が、問題の親子がいると、大変。急に毎日子どもについていくことになった父親は、その点がまったくわからない。
対向の人にぶつかるぐらい狭い道になっても、子どもと手をつないでおしゃべりしていたりします。
さすがに上級生でも、大人の男性には注意しにくいものです。
愛護委員の方からやんわりと注意をしてもらいましたが、子どもを見守るどころか、注意される父親ってどうなの?という状態でした。
そして、子どもと別れるのもとても下手です。
集合場所で「さあ行こう!」となっているのに、わざわざわが子に声をかけて「大丈夫?ひとりで行けるの?ついていこっか?」と興味を自分の方にひこうとします。
小学校に着いた時も、「パパ、ここで帰って大丈夫?ひとりで行ける?」とわざわざ事を大げさににします。
それに対応する上級生たちは大変です。
・時間に遅れて来たり家に戻ってしまった場合は、出発していいかどうか判断が必要になります
・スタート時にゴチャゴチャして時間がかかっていたら、出発しますと伝えてスタートします
・出発時間が送れたら、先頭の班長は遅刻しないように速足登校します
・速足登校でついていけない下級生を、副班長や上級生がサポートします(たまには、ランドセルを後ろから優しく押して速足を促すことも)
・校門に入ったら、自動的に解散なので全員が校門に入るか確認します(ここで、いつも父親がわが子に声をかけるからややこしくなる)
・父親と別れない!とぐずぐずがはじまったら、一緒に教室まで行くように促します(時には、自分の荷物を教室に置いて、先生に説明してから現場に戻って、一緒に教室に連れていくことも)
小学生ながらに、上級生は頑張ってこれらの仕事をやりとげようとしていました。
しかし、さすがにそこまで気を使っていると上級生も疲れが出てしまいます。
1学期は、こうしてお世話したメンバーを中心に、なぜだかわからない頭痛とか、突然の高熱(1日で復活)とか、そんな休みがたくさんありました。
次男も、「ややこしいねん!」「大人がしゃべっとるで出発できん!」とか言いながらも頑張っていたようで、何回か原因不明の熱を出していました。
そんな感じの一学期でしたが、だんだん収まりつつあります。
それは、その男児の欠席が多くなってきたから。
来ないとわかれば、集団登校はスムーズなものですが、それでいいのか?!
新1年生、このまま不登校に一直線なのか?それとも、夏休み明けに復活するのか?
まだまだ心配な集団登校です。