低学年の時は飛び級して、学年上の試合にも出でいたのに、5年や6年になって、ぱっとしなくなった子。
そういう子が、世の中にはこんなにたくさんいるんだと、こどものサッカーに関わっていて知りました。
低学年でサッカーが上手いと評価されると、親はついつい熱心になってしまいますが、要注意ですよ!
こどもは「サッカー選手になりたい」って言うけど
少年サッカーチームだと、各学年に1人ぐらいはすごく上手な子がいるものです。
低学年の試合では、団子サッカーから抜け出して点数を取ることができるので、1学年上の試合にも呼ばれたりします。
小学校1,2年生では、リフティングがまだできない(まだやらせていない)子がほとんどですが、その子は10回以上できちゃたりします。
家でも、自分でビデオ見たりして自主練していたり、平日はサッカースクールに通ったり、努力もしています。
でも、まだ小学校の低学年です。
小学校の低学年といえば、いろんなことに興味を持つ時期。それに、まだまだ1つのことに集中して行動することができない時期。
あっちで遊び、こっちで遊び、というのが普通の時期に、そこまでサッカーの練習するのは、やはり親が熱心だし、本人もちょっと無理して頑張っているのかも。
文部科学省の資料にも、低学年、中学年は多様な動きをつくる運動(遊び)が重要だと書かれています。
現代の子どもたちはかって日常の遊びの中で身につけてきた動きが身についていないんだそう。
多様な動きを習得する時期。
けれど、親も熱心になってしまって「こどもの夢をかなえてあげるために、できるだけのことをしてあげたい」と、車で送迎したり、家の中をボールを蹴れるようリフォームしたり。
確かに本人は「サッカー選手になりたい!」って言ってたりします。でも、低学年のサッカー部は皆「サッカー選手になりたい」って言ったりしますからね。
本当にサッカー選手になりたいのか?まぁ、つい最近まで将来は「ウルトラマンになりたい!」とか言っていた子たちです。あまり親が深刻に受け取ってもいけません。
低学年での背伸び!高学年になると伸び悩む
サッカーを早くからはじめ、低学年で「うまい」と言われる子は、試合に出ても点数を取ることを期待されるし、高学年からの試合に声がかかるので、忙しくなります。
同学年の皆が試合のない日も、高学年の試合についていったり、それにスクールやトレーニングをしていたりするために、毎日大忙し。
友達と遊んだり、家族で週末にキャンプに行ったりということもできなかったりします。
親も子どもをサポートしようと、せっせと送迎したり応援しに行ったり。週末もつぶして、かなりの時間をサッカーに使うことになります。
でも3年生ぐらいになると、やたら運動神経がいい子がサッカー部に入ってきたりします。
最初こそ、足元技術の違いでうまい子にはかなわないのですが、高学年のゴールデンエイジ(10歳~)に入ると、自分で集中して練習することができるようになるので、一気に上手になりだします。
成長期に入って、一気に体型に恵まれてくる子もいます。
一方、足元技術の貯金と「自分はうまい」というプライドでやってきた子は、ゴールデンエイジになってからの伸びがなかったりします。
それどころか、頑張っているのにできないという挫折を、高学年になって味わうことになるのです。
3、4年生になるとケガをする子が増えてくる
そして、一番気になるのがケガの問題、とくに膝やら足首やら腰などの慢性的なケガです。
サッカーはぶつかる競技なので、打撲や擦り傷などの突発的なケガは、当たり前のようにしてきますが、これはそのうちに治るのであまり心配はしません。
心配なのは、足首を痛めたり、腰を痛めたりする”障害”と呼ばれるケガです。
ケガとは、外傷と障害の2つに分類されます。
https://www.jfa.jp/medical/injury_prevention.html JAFのサイトより
外傷とは、一度に外から大きな力が加わって生じたケガで、骨折、捻挫や打撲、肉離れなどです。
障害は、軽い力が外から持続的に同じ部位にかかり生じたケガで、疲労骨折、関節炎や腱炎などがあります。
パワフルな動きが得意だったA君は、小学3年生で膝を痛めました。
低学年の頃から突撃タイプでケガは多かったのですが、友達と遊んでいる時に靭帯を痛めてしまいました。
運動は禁止され、サポーターをして松葉づえ生活。リハビリをしていましたが、ストレスからか激太り。
やっと松葉づえなしで、徐々に運動するようになっても、体は以前のように動きません。それに足をかばうのでバランスが悪くなり、また体の別の部分が痛くなるという状態です。
4年では地域選抜にも選ばれましたが、故障が多くてサッカーのレギュラーからだんだん遠くなってしまいました。
お母さんは、サッカーに連れていく生活から、整骨院に連れて行く生活になり大変そうです。
足技の上手いB君は、小学4年生で腰を痛めました。腰椎分離症です。
小さな頃から足さばきが上手く、当事はチョンリフ(足の甲でチョンチョンと小さくリグティングを続けるもの)を連続3000回ほどしていました。
チョンリフは、長時間体を前屈させる体制をとります。それが腰に負担をかけたのでしょうか?
怪我をしてからはコルセットの生活。調子が良い時は上の学年のサッカーに参加していましたが、長時間試合に出ることが難しくなり、高学年になるとベンチにいることも多くなりました。
このような状態を見て思うのは、低学年では一生懸命サッカーをさせる必要はないということです。
それどころか、できるだけいろんな遊びをして体を鍛えたほうが、ケガのない体を作ることができるし、ゴールデンエイジに向けての準備ができます。
ベテランのコーチは、「低学年は楽しく体を動かすだけでいい」と言ってましたが、いろいろ見てきて本当にそうだと思いました。
でも、「この子はうまい」「1学年上の子の試合に参加して」と言われると、親が熱心になって行ってしまったりするんですよね。
こどもの将来を本当に思うなら、低学年のうちに親が熱心にならないことが大切だと思いました。
